2006年05月18日

『きたりもん』という差別語に立ち向かった祖母、こういう差別語がなくならない限り、この国が核大国へ進むことは止められない。

2003年10月15日の日記で一度書いている、父方の祖父が山梨県の勝沼で開業したのは昭和初期。わたしの母は、開業1年後に生まれている。

その母の記憶に鮮明に残っている、ある「事件」がある。母が記憶しているのだから、多分、この「事件」が起こったのは、祖父が開業してから10年程度経過した頃、母が小学校3年生くらいの頃だと思うのだが。。。。



東京のように地方出身者が集まってできた街を別にすれば、その他の地域には、必ず、「地元意識」というものがある。東京からそんなに遠くない距離にある山梨県なのに、「地元意識」が今でも強い。祖父が開業した昭和初期なら、これがどの程度のものであったかは想像するのは簡単なことだ。母方の祖母が生まれ育ったのは、山梨県甲府市。祖母は、山梨県生まれということでは、「地元の人」だけれども、勝沼の生まれではないから、「勝沼の地元の人」ではないのだ。そんな二人が結婚して歯科医院を開業すると、地元意識の強い人からイヤなことを言われるという意識は、「山梨県人」で祖母の方が強かったのかもしれない。しかし、そんなことよりを苦にするよりも、当時歯科医師が1人もいないから、開業してはどうか?という薦めで、勝沼で開業することを決めた祖父は、誠実な態度で患者さんに接すれば、心ないことを言う人はいなくなる、そう考えていたに違いないし、祖母も同じように考えて祖父に協力していたに違いない。

地元出身の人の中に必ず噂好きな人がいて、こういうタイプの人が「地元出身出はない人」を傷つけるような噂を流す、さらに、このような噂を流す人に限って、「地元の有力者」などと言われるような人だから、始末が悪い。

「事件」の発端も、この「地元の有力者」が知りあいに話したことが発端だったらしい。それは、次のようなこと。

「東京の歯科大だかなんだかを出てるって話だが、自分の生まれたところで開業できんような、『きたりもん』」は、どうにも信用できん。」

余談ですが、この「きたりもん」というのは、「よそ者」という意味。このことを話てくれたときの母の話ぶりから推測するに、かなり差別的な意味が強い感じの言葉 。それも、どうも、山梨県限定の方言のようなのだ。この記事を書く前に、

まさかないよねぇ、インターネット上には、調べても「きたりもん」でひっかかってくるページなんて。。。

と、思いつつ、この単語で検索をかけたところ予想に反して、ヒット。何件か該当ページが表示された。上位にあるページは、山梨県関連。。。。。

うげっ。

まだ、死語になっていないなんて。。。


話を戻します。

この地元「情報局」による「きたりもん」発言が、巡り巡って祖母の耳に入ってしまった。

これを聞いた祖母は、

「患者さんで何年も治療もしてるのに、まだ、『きたりもん』だなんて!」と、悔し涙。

でも、祖母は、悔し涙を流して我慢するような人ではなかった。今よりも書類を取るのが大変な時代であっただろうに、祖父の分と自分の分の、今で言う戸籍抄本のコピーを取り寄せ、さらに、それに祖父が取得した歯科医師免許も持参して「放送局」に乗り込み、

「主人もわたしも、こういう生まれです。歯科医師免許はこれです。どちらとも、よく、ご覧になってください。」と、問題発言を人の目の前につきつけたそうな。

これらを見た後、問題発言をした人は平謝り。これ以来二度と、祖父を『きたりもん』と呼ぶことはなくなった。




祖父が「きたりもん」と呼ばれなくなって、60年以上経っているのとうのに、以前にも書いたが、今のこの国では首相自らが「格差」を肯定する発言をしてはばからないし、電車の吊り広告の週刊誌の見出しには、「負け犬」や、「負け組」という、人を差別する単語だらけ。

こういう差別語を、まず、減らす努力することから始めないと、六ヶ所核燃料再処理工場の稼働を止めることや、第二再処理工場の建設を止めることができない、と、痛感する。

理不尽なことに対しては、例えば、「(もう、お金をもらってしまったから)仕方がない」などと言って自分に甘えて逃げないで、祖母が行動を起こしたように、正当な証拠を相手つきつけて、相手を納得させないと道が開けない。
posted by yoshikoskz at 20:53| パリ ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 言語 | 更新情報をチェックする
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